当サイトのギフトを下さったしんりさんと10/4SRSKというサークルで合同誌を製作しました。くわしくはこちら



コミックマーケット87

2014年12月29日(月)2日目 東3ホール ア—16a

サークル名 Ginbotan

無事参加致しました。ありがとうございました。

通販サイト立ち上げました。

こちらからお入りください


新刊サンプルです。よろしければ!

※左から右へご覧ください。

『I'll kiss it to make it better!』

A5/44ページ/¥300−


こちらの本には下記のキニアス君のペーパーと、次回発行の『RADY R〜ふたりのリノア〜(準備号)』をお付けします。

*アーヴァイン・キニアス君の数十分(発行本配布用ペーパ先行掲載)

(発行する本では、アービン君が目撃したものを含め、一部始終が書かれます)

 


かの司令官殿が部屋の施錠をよく忘れるのは、なんだかんだ言っても、誰かと繋がっていたいという欲求の現れなのかもしれないと思っている。あるいは、閉所恐怖症とまではいかないまでも、閉じ込められる事への恐怖心が、どこかにあるのかもしれない。

とにかく、今日の僕にはそれは好都合だった。
形状は大きく違いがあるものの、彼の相棒も銃が一部備わっている。
だから、メンテナンスで使うガンオイルも全く一緒だった。
運悪くメンテナンス中に手持ちのオイルがなくなってしまい、彼の部屋へ拝借に来たのが4分前。
ガンブレードの近くに置いてあると思っていたのに、なぜか見つからずにあちこち探し回っているのに見つからない。
生憎ケースは施錠されていて中までは調べられなかった。
スコールの性格上、ストックは必ずあるだろうし、物をあちこちに転がしておくタイプでは無いはずだから、必ずどこかにあると思うんだなぁ。

「あ、」
こんなとこには無いだろうと思いながらもベッド脇のサイドテーブルの引き出しを引いた瞬間、出てきたのは慣性の法則で手前に出てきた半開きの小さな箱——モイストタイプ、10個入。中身は残すところ、1コ。
 
普段の彼からは想像出来ないものが——でもまぁ、そうだよな、という納得した気持ちになる『それ』をまじまじと見た。
ガーデンから時々支給されるし、売店の隅っこでも見かけるそれは、そんなに見慣れないものでは無かったけれど、個人の部屋のこういうところに入っていると、妙なリアル感というか…あの二人がそういう関係なんだとハッキリと理解できるというか…とにかく生々しかった。

僕は男だから、そういうものに嫌悪は無いし、むしろ大事なことだと思っている。同性でもその辺を疎かにする奴はごまんといるから、スコールがまともな倫理観の持ち主だと知れて良かった。
それに、彼が使ってるものは、同じジャンル内では値が張る部類(だったはず)。特に女の子に配慮したものになっていて、ホントに彼女を大切に扱ってるんだな…と、何故か誇らしい気持ちにもなった。

「うんうん、いい傾向」
最初は、機械みたいな人間がこうも変われるのかと思わなくも無かったけれど、相手があの慈愛の魔女様なら、変わらない方がおかしいのだと思う。
こんな若造が言う台詞では無いけど、人の縁は不思議だと思う。収まるべくして収まるカップルっているんだなぁ、な〜んて達観してしまうくらいに、あの二人はお似合いだった。

そうだ、本来の目的を果たさないと、主が帰ってきてしまう!
彼が一人だけで部屋に戻ってきてくれれば、まだ問題はない。小言は言われるだろうけど、目的のものは貸してくれるはずだ。最悪、二人揃って帰ってきてもなんとかなるはず。
けど、二人且つ『非常事態』だとマズイ。

非常事態というのは、あっちのモードというか、イチャイチャしたい気分というか…。とにかく、ありとあらゆるものをシャットアウトして、二人だけの世界に浸ろうとしている時。そんな時に邪魔者が部屋にいたら………………やめよう。
怖すぎて想像も出来ない。

一度だけ、キスシーンを目撃してしまった事があったけど、あの時は色んな意味で凄かった。
普段なら、人目につく場所でなんて絶対にそんなことしないはずのスコールが、食堂のど真ん中、おまけにギャラリー大勢の中、堂々と深々と展開し始めた時は、空いた口が塞がらなかった。(あの時はどうやら、アクシデント発生でリノアと喧嘩していたらしい)

あの後の食堂の床は、見るも無残なものだった。みーんな、食べかけてた食事をボトボト落としてたんだから。
あの後、スコールは学園長にこっぴどく叱られたらしいけど、本人はまるで気にする様子が無かった。やっぱりあいつはちょっと変わってると思う。


「お、あったあった」
ようやく目当てのものを発見して急いで部屋を出た。メモを残しておこうと思ったけど、あとでメールで言えば良いや。

スコールはあとどれくらい、ガーデンに伝説を残すんだろうなぁ。

そんなことを思いながら、今日も一日が過ぎて行く。
 
 
 
 
 


 

TOP